[対話の要諦は”聞き上手たれ”」のごとく聞くことに徹します。
昨年のことです。
千葉県に久しぶりに台風が直撃して、倒木災害などライフラインを寸断する被害が至るところで発生しました。
停電・断水・通信網の寸断など、普段から当たり前に利用している物が、突然、しかも長きに渡って使用できなくなるという不便を味わうこととなりました。
私の地域は比較的素早く復旧し限界寸前に事なきを得ました。
地域によっては断水1週間・停電2週間といった「もうこれ以上我慢できません」といった限界突破に至った集落も散見しました。
被害の少なかった私は、大変な状況にある親戚・知人を回ってサポートをしました。
その中で感じたことは、皆が自身の窮状を強く訴えていることでした。
電気がつかなければ、懐中電灯・ランタン・ろうそくなどの非常あかりで賄えます。夜更かしせずに早く寝ればいいことです。
水が出なければ、給水所から水をもらったり、井戸水利用の家から分けてもらえば済みます。
携帯電話が使えなければ、通信を控えればよいことです。
それぞれが、工夫しながら日常生活を維持しています。
一番困惑していることは、ひょっとしたら自分だけこんな苦労をしているのではないかという不安です。情報が発信できない、情報を受けられない事に対する焦燥感です。
「大丈夫ですか?」と尋ねると、自身の現在の置かれている状況を事細かにまくしたてます。そして、その中でこうして歯を食いしばって頑張っているんだという事を第三者に称賛してもらいたいのです。
私はひたすら全身を耳にして話を聞きます。
話し終えた後私が「困っていることはありますか?」と聞き返すと、「何もありません。話を聞いてもらえただけで十分です。また頑張れます。」と笑顔で答えます。
まさしく、「対話の要諦は”聞き上手たれ”」です。