私は自分に余裕がない時でも、視野を広く持つようにしています。
以前、多忙を極める部署で仕事をしていた時、皆が自分の仕事で手一杯の部署にいました。
雰囲気もぎすぎすしておりとても息苦しい職場でした。
朝は始発から働き、夜は終電に走って間に合わせるというような部署だったので、私を含め全員余裕がなく、声掛けも少なく、自分の仕事をこなすだけで精一杯でした。
そんなある日、大きな段ボールをもって歩いている女性上司の姿を扉の影に発見した私は、ドアを開けました。
上司の手がふさがっていた為、開けるのに難儀するだろうと思ったからです。
いつも眉間に皺を寄せ、近づきがたかった人だったのですが、その時彼女は驚いたように私を見、そして笑ってくれました。
「ありがとう」
殺伐とした職場の中で、まるで清涼剤のような一言でした。
その時、自分の視野がいかに狭くなっているかに気が付きました。
ドア付近の席にいるのだから、ドアを開けられない人がいたら開ければいい。
コピーした用紙を取りに行ったとき、ほかの人が印刷した分が残っていたなら、席に戻るついでに机の上に置けばいい。
電話をしている上司がメモする用紙を探していたら、余った用紙とペンを置いてあげればいい。
自分の仕事だけに視野を向けるのではなく、ほかの人の行動にも広げたら、自分の世界も広がりました。
あの上司の「ありがとう」の一言が、気づかせてくれました。
あれ以来、私はなるべく視野を広く持つように心がけています。