聞くことから対話が始まる
ひきこもりの青年がいました。
彼は高校を出て就職しましたがあなた月余りで人間関係が原因で辞めてしまい、それから10年余りいわゆるニートです。
友達の息子で、その友達は将来のことを考えると何とかしなければという思いと何もできないという無力さを抱いていました。
見るに見かねた私は、少しでも役に立てたらとの思いで彼に会いました。
本来、この生活に甘んじている彼にこうあるべきだという正論をぶちたいところですが、逆効果です。
ますます殻に閉じこもってしまいます。
そこで私はまずじっくり話を聞こう、彼には彼なりの正当な理由があるかもしれない、そう考えました。
そして、あくまでも私はあなたのの見方であり、あなたのことを思ってこうして話をしているんだ。との思いを終始一貫して持ち続けました。
まず、初めて会ったおじさんに打ち解けて話すようなタイプではないので、
自己紹介から、子供の頃・家族の事・仕事の事‣嬉しかった事・苦しありのままありのままを語りました。
少しずつ胸襟を開いてきました。
人間関係でつまずいて立ち上がれず、人と接することが怖くなり何もできなくなった事。
今こうして働かずに存在している自分に嫌気がさしている事。
このままではいけないといつも思いながら、しかもどうすることができないといった現状。
心の思いをはき出したことですっきりしたようでした。
誰かにわかってほしかったのでしょう。今の自分の苦悩を。
聞くという行為は相手を理解することとともに、相手に声援を送ることではないでしょうか。
聞くことにより、踏ん張れる力を与えることができました。