正直に答えすぎて、失敗したと思ったが、内定をもらえた。
学生時代、なかなか就職先が決まらず困っていた時のお話です。探していたのは、出版や、印刷業界、広告業界だったのですが、マスコミに近い業種とあって人気があり、大学の斡旋も少なく、就活は苦戦を強いられていました。
今のようにネットが普及していなかった事もあり、私は、求人雑誌や新聞、求人広告まで血眼になって探して、面接をしてもらえる会社は、手当たり次第に受けるという、数を打てば当たる作戦を決行。
しかし、なかなか内定をもらえず、気が付けば、面接予定の会社は、わずかに残すばかり。就職活動を行った会社でどんな事を面接で受け答えをしたかや、どこの会社を受けたかも忘れることすら有りました。そんな状態で、受けたある会社での面接での出来事、面接官の方にこう聞かれました。
面接官「弊社以外にどんな業種のどんな会社へ就職活動を行っていますか?また、結果はどうでしたか?」私は、本当にあせりました。理由はあまりにも多数の会社に行きすぎて、記憶にない会社の事もあり、また直前の会社の面接結果も、まだ判断できません。私は、失敗を覚悟して正直に答えることにしました。
私「どうしても、出版や印刷業界に携わりたくて、多数の会社を受けています。覚えていない会社もありますし、まだ、内定結果をもらえていない会社も有ります」。
面接官はこう尋ねてきました「では、弊社以外でも多数の会社を受けられているということですね。それなら、内定をもらったら、弊社とまだ内定結果が得られていない会社とどちらを優先させますか?」
私、「どちらが、優先という質問に対しては、今の段階では、お答えはでき兼ねます。いずれの会社も私にとって第一志望です。どちらかに、優劣をつけるつもりは有りません」
私は、自分の言葉に失敗したと感じてしまいました。なぜなら、御社を優先させる、と答えることで内定を有利にできるはずですから、本当に落ち込みました。しかし結果は内定。
その時の事を後に面接官に尋ねてみると、「面接の時には、正直に答える人は本当に少ないです。仕事では、いろんなことが起こります。その時に、正直に物事を捉えられることで、ミスも回避できるし、前向きに仕事に取り組むようになると考えています。だからあなたに内定を出しました」と言われました。
正直過ぎることで内定をもらえるなんて、自分の性格に自信が持てるようになりました。