神経質なお客様が自分を選んでくれた
私は4年間同じコンビニエンスストアで働いていました。
常連のお客様と繰り返しお話ししているうちに、仲良くなることも多くありました。顔を覚えてくださるお客様も居て、休憩時間に私服で店内に居るときや町で見かけたときに声をかけてくださるお客様も居ました。
ある女性の常連様の話です。その方は神経質な方でした。スタッフの態度や袋詰めのしかた、お釣りの渡し方など、ちょっとしたことが良くないと不機嫌になってしまう方でした。
スタッフたちは皆、その女性のレジを打つのを嫌がっていました。正直に申し上げると、私自身もその方が苦手でした。
ある時、私はいつものようにその女性のレジを担当していました。すると帰り際、私を振り返ってこう言いました。
「あなたが一番いいわ。実は最近、あなたが居る時に来るようにしているの」
私は彼女のレジを担当するとき、意識的に話しかけるようにしていました。
とはいっても、「今日はお買い物が多いので、袋を二重にしましょうか」、「こちらは別の袋にお入れしましょうか」といった、通常の接客で使う言葉ばかりです。
その女性を警戒して会話を最低限にとどめているスタッフが多い中、私は私なりに、彼女がスタッフに何を求めているのか知ろうと思ったのです。
それが彼女に伝わっていたことが分かり、接客に自信を持てるようになりました。